表意文字としての漢字

NHKの番組【「中国文明の謎」漢字の誕生・王朝交代の秘密】を見た。
 
漢字が表音文字ではなく表意文字だということは知っていたが、その働きが初めてわかった。
 
今までの経験上、子どもたちにとって漢字の方がひらがなよりもわかりやすいということを知っている。それは、漢字が絵のようなものだからと思っていた。
鳩という漢字を見せてなんという漢字か聞くと、わからないという。
そこで、「クークーと鳴く鳥は?」と聞くと、すぐに理解する。
 
「親は木の上に立って子どもが安全かどうか見ている」と言えばその意味も含めてわかる。基本の漢字さえ知っていれば、新しい漢字を作ることもできる。
それは、字そのものに意味が含まれているからだ。
 
番組を見て気がついたのは、多くの民族が住み、言語や発音が異なっている国をまとめるのに漢字が大きな役割をもっていたということだ。
 
そういえば、昔の日本でも漢文を読むことができた。発音は知らなくても、そこに書いてある意味は理解することができたのだ。それは朝鮮半島や東南アジアでも同じことだろう。
韓国ではハングル文字ばかりを使うようになっているが、最近、漢字を使った方が子どもたちが学習しやすいという議論があるそうだ。日本語でも平仮名ばかりではわかりにくいと同じようなものだろう。
 
自分たちの話している言語で漢字の意味だけを使って文章を表すということは、中国本土の民族も同じであったということに驚いている。つまり、日本では訓読みをしたり、漢文の読み下し法を発明したと同じように、中国の国内でも各民族が同じようなことをやっていたこと、そして、周辺諸国が訓読みと同じような工夫をしていること、そして、それが漢字の働きの一つであったこと。
 
清王朝満州族の文字を使わないで漢字を使うようになり、康煕字典まで編纂したのも多民族の言葉を表意文字で表すという漢字の働きが大きかったことを示している。
 
漢文の経典という異国の文章の意味を読み取れるのも、漢字という優れた表意文字の働きなのだ。だから、お経の意味がぼんやりとわかるのだ。