ケインズの「美人コンテスト」の喩え

ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』第12章第5節に、金融市場における投資家の行動パターンを表すたとえ話があるという。

ケインズは、玄人筋の行う投資は「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができるとし、この場合「投票者は自分自身が美人だと思う人へ投票するのではなく、平均的に美人だと思われる人へ投票するようになる」とした。

つまり株式投資で儲けるには、自分が良いと思う会社ではなく、
最も投資を呼びそうな株(値が上がりそうな株)を買うというのだ。

今年米国の金融投資資産が生み出す所得は540兆円になるという。
それは、余った金が投資されること(お金を動かしているだけ)によって生み出されたもので、実際の生産活動とはつながっていないし、ケインズが喩えたように、良い活動(をする会社)に投資されたものでもない。

と書いていて、これは総裁選挙の投票にも当てはまると気がついた。
その人が良いかどうかではなく勝つものに投票するのだ。

また、AIも「ケインズの喩え」と同じ働きをしているし、そのアルゴリズムをつくるプラットフォーム企業は利益を得るために同様なことをめざしている。
そして、私たちにとってもフィルターバブル として作用している。