「死なないノウハウ」

雨宮処凛さんの著。副題にー独り身の「金欠」から「散骨」までーとある。
わくわく図書館で紹介されて知った。

雨宮さんは、困窮者支援に関わるまでは、自分はとても冷たい人間だったという。
それは、勝ち続け、人を蹴落とし続けなきゃ生き残れないと思っていたし、失敗した人間は「自己責任」だと思っていたから。
しかし、同時にいつも不安だった。
なぜならそのような考えでいる限り、自分が「負けた」時には「自己責任」と切り捨てられ、見捨てられることを甘んじて受け入れなくてはいけないのだ。だからいつも緊張し、自分が「」しないこと、リスクを取らないことばかりに心を砕いていた。

だからフリーランスで単身の自分のこの先が不安すぎるからこの本を書いた。
そして「死なないノウハウ」を獲得していく過程で気づいたのが、「不安がなくなると、人は優しくなる」というこの世の真理。

なぜそこに至ったのか。不安を抱えている時に出会ったのが困窮者支援の人々。
支援者たちはただ自分の知識をフル活用して手を差し伸べていたが、そこにあるのは「こんなふうに人が切り捨てられ、路上に追いやられる社会はおかしい」という静かな怒りだった。・・・・

それから20年。以前のような不安は霧散していた。人を蹴落とし出し抜かなくても生きていけると知れたことで肩の力が抜けた。しかも、自分自身が相当の情報を持っていることで人助けだってできる。

私は死なないための知識を得ることによって、ずいぶん優しく、人間らしくなれたと思う。

これを聞いた時に、ふと感じたことがある。
・「死なない」は「生き残る」こと。
・メンタルな不安はつながりの中で解消されていくということ。
・わけのわからない不安は、その正体を知ることで、消えるわけでも無くすこともできないけど、やわらげられることができるコト。
・不安の正体を知るコト=つながっていることを知るコト
・不安だからこそ争いや戦争が起こるコト

自力的なハラスメント(無力化)や学びではなく、他力のエンパワーメント(有力化)やスキルや知識が生きる力を与えること。
まさに「この世の真理」なのだ。