「GeoGebraで遊ぶ」中学生

久しぶりに「数学セミナー」を買った。
というのは「中の定理」が出ていると知ったから。
読んでみると中洋貴さんは中学校へ入学した時からGeoGebraで遊んでいたという。
ある日オイラー線を描こうとして垂直二等分線で外心を垂線で垂心を引いた。
その図をじっと睨んでいたところ、相似三角形を見つけたというのである。
下図のナビゲーションを戻して線だけの図にしてみよう。
それを見ていて相似三角形に気がつくだろうか?

これを知るために買っただけなのだけど、書いてあってうれしかった。 
シュミレーションによる証明のしかた 
                 ・・・「中(なか)の定理の拡張」をGeoGebraで証明する 

どうやら「GeoGebraを発見のために使うという構想」は中学生でも十分可能だということの証明だと思う。

唯識にはどのような認識にもはたらく基本的な五つの作用が述べられている。
:心を認識対象に接触させる。感覚器官と認識対象と識の三つを合わせる作用のことである。触により、これら三つが触れ合うことで、意識が成立し始める。
作意:心を起動させる作用のこと。
:認識の対象が、良いか悪いかどちらでもないか判断する作用のこと。
:受け止めたものを自己の枠組み(内的モデル)にあてはめる作用である。ここで、対象に言葉が貼り付けられる。
:認識対象に具体的に働きかける。想で対象に言葉が貼り付けられた後、生じた識が善か悪かが判断され、身体的行為や言語的行為が引き起こされる我。

この②のイメージが湧かなかったけど、中さんの例でいうと、「GeoGebraで作図してみよう」というのがこれだと思う。(動かすことで変わらないことが見える)

以前紹介した山口裕之氏は、この技術(GeoGebra)について
科学における『正しい事実』は、人間がある対象を思い通りに動かすことができる『技術』と表裏一体のものとして発明される
と書いている。全くその通りだと思う。発見でなく発明なのだ。

さて、もう一つ買ったのが「アブダクション 仮説と発見の論理」という本。
米国の論理学者・科学哲学者パースの「アブダクション」に関する解説が書いてあるのだけど、この著者(米盛裕二氏)にコンピュータサイエンティストや言語学者が興味を持って、講演やシンポジュウムに呼ばれるとまえがきに書いてあった。
私自身は今井むつみ・秋田喜美著「言語の本質」にこの本が紹介されていたので読もうと思ったのだけど、読んでみるとローティとの関係もあり面白い。

AIが「証明」までするようになったということは、やがて「発見」もするようになるということだ。
その発見(発明)について知っておかなければ。