機械には入力と出力がある。
図で表すとこのようなブラックボックスとなる。
これは分かり易いモデルなので授業で使ってきた。
このモデルに「私」を書き込むとこのようになる。
外界にある仕組みをBB(モデル)ととらえると、観察し実験するという科学でやっていることが見事に表せる。
今度は私と友人のコミュニケーションをBBで表してみる。
この場合、単なる入力と出力だけではなく、フィードバックが複雑に絡み合っている。出力されたものがまた入力されるのだ。
さらに面接試験の場面を表すと、次の図のようになり、フィードバックによってBB自体が変化する。これを表すのに困る。つまり、このモデルではBBの成長は表現できない。
どうやら、成長するBB(システム)は単純な入力と出力だけではうまくモデル化できないようだ。
では、このBBモデルを作り直すために、機械と生物の違いを考えてみる。
この図は生物をフィードバックする機械ととらえているけど、生き物は機械とは異なり自ら生成し変化している。つまりこのBB自体が変化している。
このことを自分自身で考えてみるとよくわかる。
外にあるシステムを考えている私自身もシステムということになるけど、このシステムは外界にあるシステムとは違う。
私自身をBBととらえると、機械との違いが良くわかる。
ここまでのまとめ ⇨ ブラックボックスから関数へ
《このフィードバック(再帰性)をスパイラルにして「BB自体が変化する」ととらえればオートポイエーシスまで後一歩である》
ここで「脳のはたらきだけ」を取り出すと、このようになる。
魂
↑(魂の声)↓
外界からのメッセージ → インターフェース → 内面からのメッセージ
(変換装置)
↓ ↑
コトバ記憶 (分析脳)
||||||
イメージ記憶 (直観脳)
↓ ↑
学 習 (ルール・好き嫌い)
刺激 → い の ち → 行動
これをどう表現したらいいのだろうか?
ここで出てくるのが生物のとらえ方(生物と機械の違い)。
マトラーナはハトの色覚の神経活動の研究をしていた。
彼は「ハトの反応が過去記憶に基づきながら内部的に決まってくる」と気づき、ハトの脳は「時々刻々と世界を認知し、自分の記憶を更新し続けていく自律的かつ閉鎖的な存在である」ととらえた。
〇作動の仕方がなく自生する。勝手に自分で自分を創り上げる、自己言及的なモノ。
〇生命体は本質的に他律的ではなく自律的な存在であり、機械とは作動原理が異なる。
他律ということは他からの操作が入る、つまり開いているということであり、自律ということはそれがなく閉鎖されているということだ。機械は作動のルールを人間が設計している点で開かれている。自律ということは他から操作されているのではなく、そういう外部操作から自立している、つまり閉じているのだ。
この「作動のネットワーク」は閉じている。
これを心のはたらきに応用すると「心的システム」になり、構成素は思考である。
「人間の心も自分で自分の思考を紡ぎだす。環境の中で行動のルールを自分で創り上げる。」AIにはこれができない。
でも、この心的システムは閉じているのにコミュニケーションが成立するのはなぜだろうか。
HACSモデルでは、階層を想定する。
「心的システム」の上位に同じ自己組織化システムである「社会システム」があるととらえるのだ。そして、その間にカップリングが起きていると考える。
コミュニケーションは「心的システム」の上位の「社会システム」の構成素として産出される。
プロパゲーション
(社会システムにおける中長期的な時間経過の中での意味構造の変質と意味伝搬作用を指す概念)
コミュニケーションの蓄積
⇩ 学習
コミュニティの変化 ⇨ 進化
劣化
↑ 「ユーザーの活性度」
デザイン指標として「コミュニティの活性度」を入れる