権力欲

「他人を思い通りにしよう」とする行為を権力という。
この権力は政治の世界だけではない。
私たちの普通の生活の中にも入り込んでいる。
人を自分の思いどおりにしようと考えてしまう。
そうして重ねる罪の何と多いことか。
それは私のことだ。
 
権力が政治の世界から、私たちの普通の生活の中に埋め込まれてきたことを
自覚するようになったのは最近のことだ。
私はそれを仏教と関連して考える。
 
人間の権力欲は果てが無い。無限大である。
ブッダはそのことを指摘し、その欲を規制する方法を説いた。
ブッダが説いたのは、この欲を無くす方法ではない。
権力欲を持っていることを自覚し、
縁起によって生かされている私たちに他を思いやる心を持つことをすすめたのだ。
 
この人を思い通りにしようとする心は、理想を求めるときにも現れてくる。
自分自身が満たされない時にも現われてくる。
組織を守ろうとするときにも現われてくる。
 
大乗仏教は仏への御恩の報謝において真の仏教になったと言われる。
しかし、私は仏恩を自覚することができない。
それを何年も考えている。