7冊の絵本のなかに「つみきのいえ」という絵本があった。
孫は積み木が好きだからと思ってたまたま手に取った本。
膝の上で孫は他の本は喜んで聞いていた。
が、この本では読み手の私自身の声が詰まり泣きだしてしまった。
それでなのか難しいのか孫はすぐ飽きて別の本をねだった。
後から一人でもう一度読んでみた。
これは老人のための絵本だ。
子どもには難しいのかもしれない。
水の中にどんどん沈んでいく家が建っている。
最初、ベニスをイメージした。
家を建て増ししないと水の中に沈んでしまう。
だんだんわかってきた。
家の建て増しは人生の積み重ね。
積み木の家がだんだんと高くなるようなもの。
水がだんだん増えていくのは時間や忘却のメタファー。
水の中に落とした道具を取りに潜水するのは記憶の湖に潜るようなもの。
積み木とはよく言ったものだ。
最初に涙したのは、亡くなった妻を送った家。
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