負のフィードバックの教育

冬に戻ってしまった。
イメージ 1
まだ降っている。
予報では50㎝だったが、有難いことに30㎝ほどだ。
まだ降れば50㎝はいくだろう。
 
思えば数日前までバリ島にいた。
気温30℃であったが、風があり過ごし良かった。
真冬から真夏へ行ったから体調を崩すのも当然なのだが、一番の原因は水。
氷水も安心できない。
 
でも、人々の優しさと人懐っこさ、棚田があり、風景が日本の田舎と似ている。
一番感動したのは、道に信号が無いことだった。
狭い道なのに、どんどん車やオートバイが入ってくる。
信号が無いから、割り込んでいかないと次の道に行けない。
割り込んでも、トラブルや事故にはならないという。
ルールは、外から与えられるものではなく、自然と出来上がっていくものだと感じた。
 
ガイドさんからいろいろな話を聞いた。
インドネシアムスリムの人が多いが、バリだけはヒンズーが80%を占める。
インドからのヒンズーがイスラムによってだんだん東に追いやられたという。
町や村のあちこちにヒンズーの寺院がある。
小さな祠は10m以内にあり、毎日花が供えられている。
バリ人はあくせく働く人もいるが、概してゆったりしている。
収入の3割を宗教に使っていると言われた。
毎日のお供え、祭り、お祈り、別の地区のお祭り、・・・
この繰り返しでほとんどお祈りや祭りのために生きていると言っても良い。
 
ヒンズーの代表的な神は、ブラフマン(創造の神)、ビシュヌ(維持の神)、シバ(破壊の神)である。
ガネーシャなどは彼らの子どもであるから、この三神が元であろう。
創造・維持・破壊→創造・維持・破壊→と続く。
物語を見ると、悪魔と善が闘い悪魔が滅ぼされるというものだが、
悪魔は外から来るのではないようだ。
 
ベイトソンが、バリの社会を「負のフィードバックを原理として作動する文化」と書いていた。
例えば、母親が子どもをあやしているとき、
子どもを興奮するように仕向け、子どもが興奮状態になったら今度はそれをあしらうようにする。
つまり、その状態を抑制するようにフィードバックするしつけをしている。
ということは、子どもをが攻撃的になったり、競争や張り合いへと向かおうとする傾向を抑えこむ学習をさせる。
ベイトソンはこれを母子関係の観察から考察しているが、
バリの演劇などの物語にも、クライマックスが無いことを指摘している。
私が見たものにはちゃんとあったように思うが、それは観光化されたものか。
 
日本の教育は、一般に正のフィードバック…つまり強化する方向を志向するフィードバックだ。
バリの人たちのゆったりとした生活はこういう学習からきているのかもしれない。