52位の菩薩

もう3日間雪が降り続けている。
60㎝は超えている。
いつもなら、雪が解けだしている頃なのに。
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うちに法蔵の華厳経探玄記が数冊ある。
門徒の方が持ってきたのだが、漢文で書かれており、全部を読むのは無理だ。
でも、書き込みをみると、昔の人の学びの熱意に打たれる。
最初に偈があって、これだけは何とか読める。
 
帰依大智海 十身盧舎那 充満諸法界 無上大慈尊 方広離垢法 円満解脱輪
普賢文殊等 海会大菩薩 我在具縛地 希心大法門 唯願見加哀 令増念智力
開此秘奥蔵 広益於自佗 願令法久住 伝灯報仏恩
 
盧舎那は釈尊のこと。
海会の海とは衆生海のこと。
願わくば法に久く住ましめて 灯を伝えて仏恩を報ぜん
 
華厳経は、菩薩(菩提心を持った人)の道を示している。
その道は、52段階あって、十信・十住・十行・十廻向・十地・等正覚・仏とレベルが上がってゆく。
 
「信」は、
自分自身を信じて、自分自身を成長させ、人生に希望を持って、願いに生きる位。
これがスタート。最初は尊敬する人(善知識)に出会い、目標とすることで仏性に火がつく。そして、この菩提心を持った人を菩薩という。
 
次に善財童子が行ったように、菩提心をどう育て、どのように実践するのかというと、学習と人との交わりが大切になる。
「住」は、人生勉強をして人生がわかり、何となく生きてきた場所や、自分を嫌悪していた心が薄らいで、私でよかった、ここが私の生きる場所だと決意して生活すること。
 
「行」は、習うこと。やってみること。自分の身体で学んだことを実践してみること。
それは、やがて身についてゆく。
 
「廻向」とは、その実践の中で生じる私とあなたとの関係のこと。その関係から智慧と徳が生まれてくる。自利利他の菩薩行。
ここまでは、まだ自力。
 
「地」とは、菩提心を支える浄土が見えてきて、浄土に立つこと。
浄土そのものが信・住・行・廻向の菩提心となり、自己を現し証明していたことに目覚めた位。この地の位を不退の菩薩といい、この初地を歓喜地という。
親鸞さんは正定聚であり、如来と等しと言われている。
日々出会う人、出会う事件一つ一つを善知識とし、縁として魂を成長進化させていく道を明らかにした位。
 
 「信は道の元とす、功徳の母なり。
 一切のもろもろの善法を長養す。
 疑網を断除して愛流を出で、涅槃無上道を開示せしむ。
 信は垢濁の心なし。清浄にして驕慢を滅除す。恭敬の本なり。
 また法蔵第一の財とす。清浄の手として衆行を受く。
 信はよく恵施して心に悋しむことなし。
 信はよく歓喜して仏法に入る。信はよく智功徳を増長す。
 信はよくかならず如来地に到る。
 信は諸根をして浄明利ならしむ。信力堅固なればよく壊することなし。
 信はよく永く煩悩の本を滅す。信はよくもつぱら仏の功徳に向かへしむ。
 信は境界において所着なし。諸難を遠離して無難を得しむ。
 信はよく衆魔の路を超出し、無上解脱道を示現せしむ。
 信は功徳のために種を壊らず。
 信はよく菩提の樹を生長す。信はよく最勝智を増益す。
 信はよく一切仏を示現せしむ。
 このゆゑに行によりて次第を説く。信楽、最勝にしてはなはだ得ること難し。」
    信文類より
 
親鸞さんは、このスタートの信こそが菩提心の大本であり、
その菩提心は、浄土の菩提心だからこそ十地の菩薩と同じなのだと明らかにされた。