新しい本の編集開始

高鷲文化財保護協会の編集部会で新しい本の編集方針が決まった。

前に出した「鷲見氏・鷲見郷一覧」は難しすぎるので、誰でも読める本にしてほしいという要望を受けてのもの。
「鷲見氏・鷲見郷一覧」はほとんどが原文の翻刻であって、
読み物というよりは資料集で一種の専門書なのだ。
だから、今度は「誰でも読める一般向けの本を」というのはうなずける。

ところが誰でもわかるというのが一番難しい。
とりあえず小学校の5年生を対象にすることになった。

次は内容であるが、
読みたいと思えるような本にするにはどうしたらいいのか。
鷲見郷についての歴史を書くとしたら、羅列するだけでは魅力が無い。
やはり大きな物語が必要だ。
その物語をどうしたら良いのかと検討をした。

それは、ずばり「鷲見郷の開拓」。
鷲見郷には外から人がやってきて開拓を始めた。
そして、今度は外へ出ていく人たちが現われた。
外に出て行かないと、今いるところがどんなところかわからない。
そして、帰ってきてまた新たな開拓を始める。
鷲見郷の開拓、北海道の開拓、満州「開拓」、ひるがの・上野開拓。
鷲見郷の歴史とは開拓の歴史なのだ。

そこで、
馬渕先生からテーマを「鷲見郷から高鷲へ拓く力」としたらどうかと提案された。
鷲見郷を開拓の歴史として見つめ直してみようということだ。
確かに鷲見郷の歴史は、古代から近代、現代に至るまで開拓の歴史だ。
村々の用水を引いた苦労話など枚挙にいとまがない。

編集方針
・今度は千部作り、全ての町民の皆さんに読んでいただくようにする。
・できるだけ図や挿絵や写真を入れてビジュアルにする。
・子どもたちが持つような疑問を設定して、それに答えるような内容にする。
・歴史を現代と結びつける工夫をする。
 (そもそも現代は歴史の積み重ねの結果だから当然)
・一気に現代まで行かないで、とりあえず江戸時代初期までをまとめる。
・それ以後はパート2、パート3・・・として別冊形式で考える。

話し合っている時に満州「開拓」をどう取り扱うかが議論になった。
国策とはいえ、現地の人の土地を取り上げて開拓というのはどうであろうかという意見が出た。
引き上げで多大な犠牲を出したことを思うと、単なる苦労話に出来ないし、現地の人たちの思いを踏みにじる事にもなるのではないか、というのである。
実は、これは満州だけではない。北海道やこの鷲見郷にもあったのだ。
でも、そういう歴史をなかったことには出来ないし、ちゃんと書き留めておくことが必要ではないか、それが歴史を書くということではないか、ということになった。

来年の出版をめざして新しい取り組みのスタートだ。
そしてもうひとつ「私たちの地方をどうするのか」というテーマがある。
この取り組みでこれからの地方のあり方が見えてくれば良いなと願っている。

「鷲見郷一覧」パート1 「鷲見郷から高鷲村への拓く力」

1、鷲見郷のある所と地形と気候

高鷲という名は明治二九年に名づけられました。
 では、それ以前は何と呼ばれていたのでしょうか?