『名もなき人々の歴史』濃州安八郡小泉村の江戸時代 富田満江著

入院中はブログは書けなかったけど、日記には細かく記録していた。
その中に気になったことがあったのでそれを当日のブログに記録した。
尿の流率(勢い)の測り方


入院中に読んだ本の中で再度読まなくてはと思った本が表題の本。

以前、知行地のことで取り上げたけど、今回は村の自治が新たな差別を生み出したことを知った。

江戸の初期に年貢を取り立てるのをいろいろな事情から村請制に変更する。

これが村落の自治の始まりで(惣村制と結びついて)、庄屋など村三役の始まり。
その三役の給料はどうなっていたのだとか、どうやって決まったのだとか、いろいろな疑問が浮かんでくる。
この本はそれらの疑問を解決してくれる。

著者は岐阜で高校の国語教師をしていた方。
書いた目的の一つが、差別がなぜ生まれたのかを調べたかったということ。
これが一番印象的だった。

村請制にすると村落の自治が大きく認められる。
その中心が庄屋だけど、合議制だからどうしても多数派がことを進めることになる。
つまり庄屋は多数派を形成することが必要で、そのために分家も大事な一門ということになる。その一門の象徴が庇を作ったり絹物を着用できる、苗字を名乗るといった特権を認めること。このことによってことを多数派で進めようとすると、そこには差別と争いが起こってくる。

この「頭分出入り」から村落にも特権による差別が生まれる。
人は集団を作ったとき必然的に序列を作り出すと作者は述べている。