ガロア理論の学び方

 学生の時、ガロア理論を学んだ。
その時は理解したつもりになったが、数十年たつとすっかり忘れている。
それ以後何度か挑戦しようと思っていたのだが、なんせ基礎学力不足で断念してきた。
ところが圏論を知り、自分のやろうとしていることが「指示し」と関連していることを知った。
そうなるとガロア理論を再度やろうという気になってくる。
「シンメトリーとモンスター」「シンメトリーの地図帳」を読んだのも大きい。
「指示し」とは矢印のことで何かに注目するコト。
私はこれを思考や授業のキーワードだと考えている。
ところで学生時代の教科書は二冊あるのだが、それを読もうという気にはならない。
そこで、サイトで調べ始めた。こういう時は歴史から学ぶのが一番いい。
 
(1)まず、ガロアの時代の歴史を調べることにした。
歴史をつかむと大雑把なストーリーはわかるが、当然わからないところが出てくる。
そこが次の課題になる。
例えば、ガロアは突然ガロア理論を創ったわけではない。
まず方程式の公式があるということはどういうことか追求し、そこに体の理論を導入した。
冪根による体の拡張である。では体の拡張は実際にどうやるのか。
 
(2)記号や言葉に関しては当然昔の教科書で調べるが、
最近はネットでウキペディアで調べる方がわかり易い。
体の拡張の仕方は多項式によるものと、線形空間の次元の拡大にような方法がある。
それにしても何かテキストが欲しい。
講義とは少し異なるが、ストーリーをつかむには良いし、何よりも短い。
読んで理解する力はないことは自覚している。それに根気がない。
 
(3)次は実際の大学講義のビデオ(慶応大学の坂内健一先生の講座を発見)
これは、その世界にどっぷりとつかるため。
ビデオはわからなかったら、すぐに止めて計算することができる。
それから必ずノートをとる。
 
【第1回】代数の基本概念の復習
三次方程式の求め方が二次方程式の求め方と関連している所がなるほど。
ここのポイントは体のイデアルによる剰余体の形成で、それは体になる。
多項式環による拡大のもとになっている。これについては別に説明がある。
「環のイデアルによる剰余環の構成」
これで、はじめてイデアルがなぜ考えられたのかがわかった。
常に具体的なモデルを考えることが必要で、
しかもそういうモデルが新しい概念でより簡単になる。
 
【第2回】代数拡大と最小分解体
最小分解体が決まることによって方程式から体がイメージできる。
代数的に形成された体が有限拡大によるものと一致し、
因数分解できることで根との関連が見やすくなる。
質問に対する答えのビデオがあるのも良い。
「Xの上に棒線があるのは何?」
 
【第3回】自己同型群とガロア拡大
いよいよ、体の自己同型について考察がはじまる。
自分を自分自身へどれだけうつせるか。その時に方程式の根は式の値を変えない。
根の対称性と体の自己同型は同じ問題になる。
 
【第4回】ガロアの基本定理
圏論をつかってガロアの基本定理を説明
包含関係も射になることを知った。何でも射になる。
ここで「具体的なガロア対応の計算」をする。
根の交換によるガロア群の部分群を考える。
久しぶりに位数3の対称群を計算する。
 
【第5回】作図可能性
これは見なかった。
 
【第6回】が見つからず…
【第7回】方程式の解の公式
ガロア拡大の性質をガロア群で特徴づけるのがガロアの発想。
ガロア群が巡回群ならガロア拡大は巡回拡大になるというように。
 
【第8回】基本群と被覆空間
 
すぐに忘れてしまうので、何回も見なければならない。
でも、疑問は出てくるようになった。
つまり、今までは何がわからないのか分からなかったが、
今は何がわからないのかがわかるようになった。
少しは知恵がついたのかもしれない。