円錐曲線の接線での対称性について

引っ越しとかいろいろあって忙しかった。

忙しいのに数学に取りつかれていた。
というのは、一つの問題が解けても次から次へと疑問が浮かぶからだ。
かってはやる気もしなかった基本的な証明を、やろうと思うようになったのは、なぜだろう。

証明もそれを理解しようと思う様になる過程があるようだ。
それがやる気につながっているから、何とか表現したいけど難しい。たぶん、体験がなせるものとしか言いようがない。

発端は三角形の極線と垂線の関係だった。それを円錐曲線でやっていたら、放物線で面白い現象が見つかった。それを証明しようとしたら、対称性の問題から原理へと遡っていった。放物線の対称性について調べていたら、楕円ではどうかと気になった。
そして今回、これは不思議だと感じだしたのが次の定理。

 

接線が焦点を等角で分けるというもの。
図に書くと当たり前に思えるけど、放物線の対称性を追求していたら、この定理が不思議に感じるようになり、証明しようとしたらとても難しい。

そこで岩田至康先生の幾何学大辞典を見たけどその証明が理解できない。
作図をしながら読み込んでいくと、ようやくわかってきたと同時に、成程と感心してしまった。それがとても面白いと感じたので記録しておく。

対称性の証明
これは見事な証明でなかなか思いつかない。楕円の場合は、接線の上の点Gをとり、GE+GDが最小の値をとる所が接点A。つまり楕円の接線は対称になっている。
双曲線の場合は、Hを動かしてみるとHBとHCの差が最大の値をとる所が接点Fの位置。

 

楕円でいうと接線上の点Gと焦点までの距離の和が最小になるのは、対称な所しかないという次の定理を用いて証明する。
これは、中学校でやる基本的な定理で、対称な点を作図すればすぐにわかる。
ところが、双曲線の場合は差となるので、下の図はどうなるのか考えていたら、
三角形の辺の関係からすぐに証明できることがわかった。

双曲線の場合の図は差だから、少し違うけど、三角形の辺の長さの定理を移項するだけで原理は同じだ。こちらの方が意外性があるし、三角形の辺の和の不等式がより生かされていると感じる。

この性質を利用して対称な楕円や双曲線を作図するとどうなるんだろう?
円錐曲線は多様である。
多様なのに統一性がある。
だから変化を予測できる。
その現象が面白いのだ。