新しい記憶から失われていく

 
私たちは、昔のことだから思い出せないと思っている。
でも、認知症の方たちのことを見ていると、
記憶は新しい記憶から失われていって、昔のことが残る。
 
そういえば、私もさっきしたことを思い出せないことがある。
1年前のことなのか、3年前のことなのかわからない。
でも、50年前のことを鮮明に思い出すことができる。
 
そうすると、記憶は時間とは関係ない。
新しい記憶だから鮮明とは言えない。
時間による前後が無い。
 
そして、認知症の人たちを見ていると、
新しい記憶の方から失われるようである。
 
出来事の記憶は、エピソードとして記憶される。
そのエピソードは、何回も呼び起こされるたびに、
意味を与えられる。
意味を与えられた記憶は、一つの物語として世界を創る。
 
私たちはそういう世界に住んでいる。