キツネが話すわけがない・・・子どもからの宿題

20年以上前に、授業で困惑したことがあった。

 
ある時、小学生に新美南吉の「 ごんぎつね」を話していた。すると、それは嘘だと言って受けつけない子がいた。キツネが人間の言葉で話をするはずがない。だからこの話は嘘だ。と言うわけである。これには困った。
 物語(フィクション)は嘘だけれど、そこに書かれていることは、現実をより鋭く抉り出し、「 事実」ではないけれど「 真実」を表していると説明をした。(具体的にはTVのドラマやアニメを使って説明したが難しかった。)
 物語は事実を扱っているわけではないけれど、そこに現れるエピソードは、私たちの様々な心の内を象徴的に示し、意識させてくれる。(こちらを真実と言ったわけだ。)

 そうすると、物語(小説)と仏教はよく似た所がある。物語は私たちのありようを示している。その物語の象徴していることが、私たちの生活に意味を与えより豊かにしていく。仏教も同じで、そこで語られる物語やエピソードは私たちの現実を象徴的に示している「 たとえ」なのだ。
         仏教と科学  ( 仏教は物語である)

この宿題にようやく応えることができるようになったと思う。
人生が物語なんだと。