三木における科学

例によって図にしてみる。

           ← 個別化・帰納 ←
特殊・部分・一 ⇆ 概念 ⇆ 判断 ⇆ 推理 ⇆ 一般・全体・多
           → 一般化・演繹 →

個別性は特殊性と一般性との統一である。
図の個別化は特殊化の方がいいかもしれない。
三木のとらえる帰納と演繹は逆のような気がする。
また三木の個別性(化)は特別の意味を持つ。

 しかし科学の求めるものが合理的なもの、一般的なもの、法則的なものであるからといって、それが個々のもの、特殊的なものを全く無視するかのように考えることは正しくない。科学も実は個物の独立性を認めることによって成立するのである。唯一つの例外があっても法則は否定され改変されねばならぬということは、個物の力を示している。かように個物の独立性を認めるところに、近代科学の特色とされる実証性がある。それ以前の合理主義の哲学即ち一切のものが純粋に合理的に演繹され得るとする思想に対して、近代科学が経験を重んずるのもそのためである。

我々と現象との間にいわば問答が行われる。
問答(弁証法)を通して一致した思想に到達する。
科学性は合理性と実証性との弁証法的統一である。

人格的技術
 自己自身を自己の身体をも自己の精神をも形成していく場合にも技術がある。

三木を読むことは、三木の技術=弁証法を身に着けることに他ならない。