十無益と現生十益

七回忌の折に、写真で送ってもらったもの。


弘法大師十無益」と書いてある。
無益という所が面白い。
私たちは逆の生活をしているということを知らしめてくれる。
 
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これを13回忌で文章にした。
出遇うということは不思議なもの。
無口で、仕事しか能のない人だったけど、時々この文章を読まれていたと息子さん。
 
弘法大師十無益
 
向に南無阿弥陀仏の上はなし 諸善万行は無益なりけり
 心なく頼べばすくう弥陀仏 外を頼むは無益なりけり
 達の達磨大師も弥陀頼む 凡夫で誹謗は無益なりけり
 (死)するには釈迦佛さへものがれぬに 命の祈祷は無益なりけり
 体には天地方角そなわれり 方のよしあしは無益なりけり
 根に罪もさわりも南無阿弥陀 自力の修行は無益なりけり
 宝も命おわれば捨てて行く 此の世の祈祷は無益なりけり
 万の法蔵知る智慧とても 弥陀たのまずは無益なりけり
 (功)徳には上こそ無けれ念仏の 外を頼むは無益なりけり
 悪も五逆もわたす他力船 自力の陸路は無益なりけり
 
 空海の 心のうちに 咲花は 弥陀より外に 知るものはなし
 
昭和28年 3月24日 我家にて
善知識 榊原善信師より寫させらる
 (    ) 書之
 
 
これを読むと、自然と浮かんでくるのが現生十益

 金剛の真心を獲得すれば、横に五趣八難の道を超え、
 かならず現生に十種の益を獲。なにものか十とする。
 一つには 冥衆護持の益、
 二つには 至徳具足の益、
 三つには 転悪成善の益、
 四つには 諸仏護念の益、
 五つには 諸仏称讃の益、
 六つには 心光常護の益、
 七つには 心多歓喜の益、
 八つには 知恩報徳の益、
 九つには 常行大悲の益、
 十には 正定聚に入る益なり。  (註釈版聖典、二五一頁)
 
 
いずれも浄土に照らされた私たちの益(やく)である。
先の十無益とこの現生十益は見事に対応している。