レヴィナスの弁神論「幼児の神と成人の神」

いつの間にやら3月になっていた。
昨日のプチ法話会は9名の方が参加して下さった。

「沈黙」との関連で、
レヴィナスホロコーストを経験したユダヤ教徒の人たちに語ったことを話した。

もし神が存在するなら、神はどうして私たちを見過ごしたのか。
信者を見捨てた神を、信じ続けなければならないのか。
そういう人たちにレヴィナスは語る。

『あなたはどんな神を信じて来たのか。

 善いことをするものに報奨を与え、
 悪いことをするものには罰を下す勧善懲悪の神をか。
 だとしたら、あなたが信じていたのは幼児の神である。
 そんな世界では、人間に何の仕事も無くなってしまう。

 たとえ、目の前でどんな悪事が行われていても
 私たちは手をつかねて神の介入を待っているだけでいい。
 不正で苦しんでいる人がいても、疚しさを感じることなく
 弱者を支援する義務も免ぜられる。
 それらは、すべて神の仕事だからだ。
 あなたは、そのように人間を幼児のままにとどめておくような神を
 求め信じていたのか。

 ホロコーストは、人間が人間に対して犯した罪である。
 人間が人間に対して犯した罪の償いや癒しは神がなすべき仕事ではない。
 ・・・』
 
内田樹「修業論」より

この神にはいろいろなことが代入できる。

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