「有難うないお念仏が有難いの南无・・・・」

 「村田静照言行録」より
 

「お陰様でお念仏は申させていただいていますが、

とんと有難いお念仏が出てまいりませぬ」
(尋ねた人はたしか岐阜県郡上から来られたと記憶する)
和上はやさしく微笑しながら
蓮如さまは、あまりの有難さに暑さも寒さも忘れていなされたそうなが、
この和上といわれているけれども、
先ほども「近頃魚を食わんので足がフラフラする」というたら、
およつさんが「昨日召し上がりましたのは烏賊ですがな」というから
「いかにもなああんまりうまかったので魚ではないかと思うていた」とて、
笑うたことじゃが、マァこのくらいの和上様じゃ、
有難い心で称えるのがほんとうじゃろうが、こらえてもろうて、
いう事をきかぬ心の相手にならずに、
口だけでもご報謝をさせて頂きましょう」
しばらくご相続の後更に「有難うないお念仏が有難いの南无・・・・」
 
この尋ねた郡上の人は、美濃島与之助さんだと思う。
与之助さんの母ぢうさんが、法友が訪ねてきて「喜ばしてもらっとるかえ?」
と聞かれて「うんにゃ」と答えて一緒に泣いたという。
 
後生の一大事  ( 美濃島与之助さんの話)
 
高鷲から八幡までの一時間を念仏を称えながら運転していたら
五町を過ぎたら、いつの間にか称名をしていないことに気がついた。