根の置換と体の拡大の関係(2)

 三次方程式

X^3+11X^2-6X-6=0
三次方程式の根は必ず3つあって、この方程式は必ず解ける。
例えばこのように。
 
X=1,2,3
でもこの根の置換は単位元(変えない)だけである。
有理数の置換をすると世界がバラバラになってしまうので、
この方程式の置換群単位元だけである。
 
では、
X^3-1=0はどうなるか。
(X-1)(X^2+X+1)=0と因数分解できる。
この段階で、右側の根βとγは入れ替えてもの世界を変えることはない。ただし、1とβやγと置き換えることはできない。
置換群でいうと、「変えない」と「βとγを置き換える」置換のみの位数2の群になる。
 
この方程式をさらに因数分解するために、
√-3を付け加え、(√-3)という世界をつくる。
(√-3)={a+b√-3:a,b∊}
この世界では、
(X-1)(X-ω)(X-ω^2)=0と因数分解できる。
根は、X=1,ω,ω^2である。
この世界(√-3)では、先ほどの根の置換は、
(√-3)→Q(√-3)
σ:√-3→-√-3(有理数は変えない)という写像にあたる。
こう置き換えても、方程式X^2+X+1=0は変わらない。
置換群でいうと、βとγを置き換える置換σと単位元からできている。
σ×σ=eになっているし、√-3を-√-3に変えても世界の四則は矛盾しない。
 
この様に、ガロアは根の置換を深く追及して、
それが拡大された体の自己同型写像にあたるということを発見した。