根の置換を具体例で考えてみよう。
例えば、x^2+3x+1=0・・・(1)
この方程式の根はx=-1.5±0.5√5
だから、有理数だけの世界の中では解くことができない。
でも、有理数に√5を加えた世界では解くことができる。
(これをQ(√5)と表し、Qを拡大した数の世界(体)という。)
この世界の数はa+b√5と表され、四則はすべて成り立つ。
この世界(=Q(√5))では、方程式(1)は
(X-(-1.5+0.5√5))(X-(-1.5+0.5√5))=0
と因数分解できる(解くことができる)。
先ほどの根を置換すること(α⇔β)は、
Q(√5)の世界で見るとどういう意味を持っているかというと、
σ:√5→-√5 (ただし有理数は一切変えない)
にあたる。
この写像は根の置換にあたり、σはα→βとなり、
この写像を二回繰り返すと(σ^2)α→αとなる。
つまり位数2の群となる。(結局写像と置換は同じことになる)
もう一つ例をあげよう。
X^2-5x+6=0
X=2,3
であるが、これは置換できない。
方程式は変わらないが、そもそもこの方程式は有理数で分解できる。
(X-2)(X-3)=0
となり、2と3を入れ替えても方程式は変わらないが、
有理数の世界で2と3を入れ替えたらめちゃくちゃになってしまう。
つまり、この場合は有理数の世界での置換はできない。
と言うか置換は全く同じものを同じものへ移す恒等写像だけである。
群でいうと単位元だけの群である。
根の置換と体の写像との間に密接な関係があるということがわかる。
さらに三次方程式で考えてみよう。