松の内だったと思うけど、
テレビをつけたらたまたまこまつ座の「イーハトーボの劇列車」をやっていたので見た。
井上ひさしのセリフは、父と子の論争という形で賢治の葛藤を描いていく。
それは賢治にとってユートピアの実現であった。
そこを父は突く。
仏国土を求めて東京に行ったのはおかしい。
岩手をこそ仏国土にする必要があるのではないかと。
浄土はユートピアではない。
あくまで外に、西方に、たてたものである。
賢治にすれば、現実を見ずにそこに逃避するという弱点もあるのではないかと。
この辺の論争は面白い。
父は経典が救うというのはおかしい、阿弥陀という仏が救う方がわかりやすいと言う。
賢治のユートピア建設の試みは挫折する。
百姓として生きるという試みと共に。
しかし、その心は彼の作品となって私たちの心をうつ。
理想の実現よりももっと大きなことを成し遂げたとも言える。