はからう心

信心を浄土宗の正意としるべきなり。
このこころをえつれば、
「他力には義のなきをもって義とす」と、本師聖人の仰せごとなり。
「義」といふは行者のおのおののはからふこころなり。
このゆゑにおのおののはからふこころをもたるほどをば自力というなり。
よくよくこの自力のやうをこころうべしとなり。
 
尊号真像銘文
 
現代語訳
 
他力の信心が往生浄土の教えの根本であると知らなければならない。
この意味において、
「利他力においては、こうあらねばならないととらえるような法義は無く、
ただ阿弥陀如来のはたらきによりて救われていく、
これを法義とするのである。」
源空上人が仰せになっているのである。
「義」というのは、行者がそれぞれに思いはからう心である。
このようなわけで、それぞれに思いはからう心を持っているあり方を自力というのである。
この自力のあり方には十分に気をつけなければならないというのである。