物語の不思議なちから

法事の時、鼻水をたらしながら話していたら、ハンカチを出してくれた恩師。

この前お会いした時に、あんたの法話が楽しみやでなと言われた。
今度、洗濯して返しに行ったついでに、いろいろ話を聞いていこうと思った。

法事の後で対話をしていると、もっと話を聞きたいという人と、
そうではない人がいるらしい。
なぜか、私は全てもっと聞きたい人ばかりと出会ってきた。

酒が嫌いではないので、ついすすめられるまま飲んでしまう。
その酔っている場で、聞く話は実に楽しい話ばかりだった。
もう一人の恩師の話は実に楽しかった。
自分が中学生だった時の話を聞くのは新鮮だった。

亡くなった親父に話したいことがあった、と話し出された方がいた。
決意して話されたそのお話には涙が出た。
誰にも語ったことのない話であると同時に、
親父の一つの物語であると感じたからだ。
もちろん、その話は親父は記憶に残っていないだろう。
でも、その語りには不思議なちからがあった。
このことは、60年ったったけど、最近鮮明に思い出すと
直接話したかったけど・・・
と語られた。
私はただ涙するしかなかったし、これを書きながらも涙が流れる。

物語の不思議なちから