図書館 おとなの学校

今日、10時から11時30分まで
「郡上で考える生物多様性について」 (講師 井藤一樹氏)を聞いた。
 
はじめて参加したが、とても面白かった。
 
郡上では10年ほど前から、イノシシ、サル、シカなどの食害が増えている。
それはなぜなのかという問いから始まった。
 
実は、30年ほど前は、ここにあげた動物は珍しく、最近の状況を見ると増えているように見える。
私も、授業中に学校のベランダを走っていくサルの親子を何度も見かけた。
作物はサルに食べさせるために作っているようなものとなっている。
 
山に作物がなくなっているから、里に下りてきたという説もある。
増えているのかどうかは調査をしないとわからないが、実感として増えているように感じる。
では、なぜ増えているのかという謎解きはとても面白かった。
 
まず、これらの動物は25年以上前は、今ほど見かけなかった。
それは、生態系のバランスが保たれていたからだ。
つまり、これらの動物の天敵がいたということだ。
 
では、イノシシの天敵とは何か?
すぐに人間と思ってしまうが、実はキツネやタカ、ふくろうなどの猛禽類である。
もちろん、それは子どものイノシシ・ウリ坊を食べる。
それは、シカやサルも同様である。
サルの場合は、ヘビだそうだ。
 
ところが、これらの天敵が最近はぐっと数を減らしている。
それは、なぜか?
例えば、猛禽類はもっと小さな小動物、ネズミ、ウサギなども食べている。
それらの小動物は、豊かな生態系の中でしか生息できない。
ところが、戦後の住宅難の時に植えた、針葉樹が30年以上経ち、
樹冠が大きく育ち、日光が当たらなくなっている。
もちろん、間伐すれば良いが、材木の値段が安くなり、間伐するのも大変。
何よりも、一律に同ようにスギやヒノキを大量に植えたことによって、
樹木の下の腐葉土や多様な植生が失われた。
それは、ここ10年ほどである。
 
土が失われると、植物や昆虫がいなくなる。そうすれば小動物がいなくなる。
食物連鎖である。
というわけで、キツネや猛禽類がいなくなったことによって、
サルやイノシシ、シカが増えて、食害の被害も多くなった。
 
細かい所は、省いたが、大きなスジは以上である。
 
で、どうすれば良いのかということが次に問題となる。
これもなかなか面白かった。
いずれにしても、このような単一的な植生の山になったのは
有史以来初めてのことで、今後どのようなことが起こるのかわからないという。
 
現実には、食害でなく、花粉症、大雨の時の土砂崩れ、楢枯れ・・・など
もうすでに起きている。
 
もっと多くの人に聞いてもらいたい内容であった。