アーサー・ビナードさんの講演

朝比奈堂の主催でArthur Binard さんの講演があった。

ビナードさんが23歳で日本語を学ぶためにこの列島へ来たとき、湾岸戦争があった。
その時、国会で自衛隊派遣が憲法違反かどうか問題になっていた。
アメリカでは憲法が使われるのは、銃規制の問題が起きた時だけ。
武器を持つ権利が憲法で保障されているからと使われるのみ。
憲法が議論されている(=使われている=生きている)ということが衝撃だった。
それがビナードさんと憲法との出会いだった。

彼は合衆国憲法とも初めて出会った。
USAは大戦以来何回も戦争をしている。
9条のような戦争を制限する条項が無いのか。
ちゃんとある。
それはdeclare war(宣戦布告)は議会に属するという条項だ。
だから、ルーズベルトは簡単には開戦に踏み込めず、議会の承認を得るためには、
パールハーバーが必要だった。

ところがそれ以後、この条項が問題になった様子がない。
朝鮮戦争は戦争でなく動乱(Police Action)ということで乗り切り、
それ以後は、
Department of War(戦争省)をDepartment of Defence(国防総省)に変え、
Secretary of War(戦争長官)をSecretary of Defence(国防長官)に変えて
議会の承認が必要な戦線布告をしなくても兵隊を派遣できるシステムに変えた。

ここには、言葉のまやかしが隠されている。
私たちは言葉の使われ方・使い方に敏感にならなければいけない。

前日のオバマヒロシマ訪問のことも話題に入れながらの、
自動詞と他動詞の使い方による言葉のまやかしの具体例にはなるほどと感心。

2時間+2時間の話で、これだけ長いと必ずウトウトするのだが、
最後まで集中を切らさない物語だった。