中村文則さんのこと

作家の中村文則さんが1月に書いていたことがずっと気になっている。
 
彼の意見に反論した友人が次のように言った。
「俺は国がやることに反対したりしない。だから国が俺を守るのはわかるけど、国がやることに反対している奴らの人権をなぜ国が守らなければならない?」
 
中村さんは、その当時はこんな人もいると思った程度だったが、
ずっと後になってこの言葉の恐ろしさを自覚したと記録している。
 
そこにはより大きなものに寄りかかろうとしてかろうじて自己(人権)を保とうとしている貧しい精神が浮かび上がる。でも、その幻想はより精神を追い詰める。
 
「(国)のやることが気に入らなければ、出ていけばよい」
という人もいた。
この( )の中には何でも入る。
そうやって、残った組織が衰えていくのは歴史が示している。
 
これらの言動の最も問題な点は、批判という行為を封じ込めるところにある。
批判こそ、行為するものが学ぶべき最も大切なことなのに。
 
雪の中のヒヨドリ
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