「お念仏が出てくだれるで ありがたい」

  あー 
  もったいないと
  思って
  阿弥陀
  このわしみたいな
  強情なものをなあ

  こんなわしでも
  思いだいてやあ
  お念仏申させてもらうことは
  もったいない
  ありがたいこっちゃ
 
時々口から出てくるお念仏は、阿弥陀様が思い出して下さるから
思い出してお念仏させてもらえる。
それをありがたいと思えるこころ。
 
  ふいっと
  おかしな心が
  おこったことでも

  お念仏が出てくだれるで
  ありがたい

  こんなこと言やあ 
  阿弥陀様に
  申し訳ない
 
  思ってなあ
 
お念仏が出てくださる。
阿弥陀様が出て下さる。
他力の思想の極まった姿がここにある。
「お念仏が出てくださるのでありがたい」
阿弥陀様と一緒に生きぬいた生活だった。
 
  お六字だけに
  支えられて
  生きていける

  ありがたい
  お念仏様が
  すっと出てくだれる

  と思って
  ありがたい
  やーれ
  阿弥陀様なりゃこそ
 
こんな身体になってしまってと嘆き
世話をかけるで申し訳ないと謝り
はようつれていって欲しいとつぶやき
もっと生きたいと言う。
出てくるお念仏に支えられながら生き抜いた御生涯だった。