仏の子

親父が毎日あげていた教本を見ると、十二礼のページのめくるところが汚れている。
これを毎日読んでいたのだろう。
 
その十二礼に仏子という言葉が二回出てくる。
 
  天・ 人 に 恭 敬せられたまふ、 阿 弥陀仙 両足尊を稽首(けいしゅ) したてまつる。
 
  かの 微妙 の 安楽国 にましまして、 無量の 仏子衆 に囲繞(いにょう) せられたまへり。
 
・・・
 
  十方 より 来れるところのもろもろの 仏子 、 神通を 顕現して 安楽 に 至 り、
 
  尊顔 を 瞻仰(せんごう) してつねに 恭敬す。 ゆゑにわれ、 弥陀尊を 頂礼 したてまつる。
 
 
仏子とは仏の子であり、私たちのことであり、仏性をもったすべての存在である。
 
法事で教え子の生まれたばかりの赤ちゃんを抱かせてもらった。
かわいい幼子を抱きながら口を出たのが、
「この子を自分の子と思ってはダメだよ。
 自分のモノではない。
 仏様の子だと思って、大事にしてね。」
 
教え子の子どもは孫だ。
安楽国からこの娑婆に顕現した仏子なのだ。