「どうにもならん」

一日の出来事がありすぎると、かえって書けない。
むしろ何もない日の方が書ける。
 
忙しすぎて書けないのではない。
書くゆとりが無くなるのだ。
 
「91やな?」
親父が言った。
毎日、今日は何日ですか?ここはどこですか?お名前は?何歳ですか?
と聞かれるのだろう。
だから、自分の年齢を確認したのだ。
 
「どうにもならん」
初めの頃は家に帰りたいと言っていた。
それが、この言葉に変わった。
迎えがなかなかこんと言っていたが、それすらもどうにもならんことだった。
 
「まだ食べてない」
食べ終わったすぐ後で答える。
全部食べとるぞと言うと、
「まんだだれもあてがってくれん」
と言う。
食べながら「えらい」と言う。
食べることも大変なことなのだ。