「ごがわく」

「ゴがわいた」ってどういうときに使う?
と聞いたら、腹が立った時とつれあいが答える。
ゴってなんや?ときいたら、わからないという。
 
「ゴがわいたは」郡上や飛騨の方言。
正確には、「業が湧いた」
すると、次の言葉はどう違うのだろう。
「むかつく」「腹が立つ」「業が湧く」
 
だんだん、縁起的に広がっていることに気がつく。
「むかつく」は心の動き、「腹が立つ」はそれが身体と結びついたもの。
「業がわく」は、様々なことが縁起して怒りという情念として出てきたもの。
さらに、怒りは様々な結果を引き起こす様を湧くと表現している。
怒りという感情は本人の歴史、状況、事件などが絡み合って出てくるものであって、
単独なものでは決してない。
 
「あんたは業が深い」とつれあいが言った。
辞書で調べると、
「前世の罪深さにより、その報いを多く受けている様。
 私は決して清らかではない、罪と悪を多く背負っている。」
これも、縁起として積み重なったもので、性格だってそうだ。
縁起として存在している私は、罪が形を成したものだろう。
そして、現象は縁起として起こっているから、すべてはつながっている。
「これも業じゃなあ。」
 
昔の言葉には、
怒りの言葉でさえ縁起として起こったという思想が含まれていたことを感じる。
因果と因縁は昔の人にとって当然の考え方だったのだ。
歌舞伎や浄瑠璃のテーマはすべて因果因縁=縁起であった。
 
子どもが「むかつく」と言った時、「ごがわく」と言う言葉を教えようと思う。

 
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