灌仏会

昨日は灌仏会(お釈迦様の誕生日)だった。
 
お釈迦様は誕生してすぐに七歩歩み、
天と地を指さして「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」
と言われたという。
 
この言葉は面白い。
仏教とは思えない言葉なのに、釈尊の誕生の時の言葉として伝えられている。
暴走族が背中に書いているという話を聞いたこともある。
 
あるとき、ツッパリの中学生が教科書にこの言葉を落書きしているのを見た。
その時、この子がこの言葉をなぜ書いているのかがよくわかる気がした。
自分が尊重されていないからこそ、ただ私一人が尊いと言いたくなる気持ちが。
 
小学生だったか中学生だったか、私もノートに良く書いていた。
若者はこの言葉を書かざるを得ないのだ。
 
友人がこの言葉を次のように子どもに説明していた。
 
「すごい言葉を知っているね。
これはお釈迦様が誕生した時に、七歩歩んで天と地を指して語った言葉なんだ。
七歩というのは六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)から出るということを示している。
独というのはたった一人ということだ。
これは、暴走族が言うような、俺が一番偉いということではないんだ。
たった一人だからこそ、尊いということなんだ。
世界中を探しても君という人間はどこにもいない。
それを独と言う。
だから君は君にとってかけがえのない存在となる。」
 
これを聞いた子が、「先生知っている」と得意そうに私に説明してくれた。
 
「唯我、独りにして尊い
私はこの独に孤独を感じる。
私たちはこの広い世界に、たった一人で投げ出された存在である。
「独り生れ独り死し、独去り独り来る。」
そういう孤独な存在としての私を自覚すること。
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