OECD「大人の学力」

学校教育や職業訓練など人材育成の参考にしようと、OECDが始めておこなった検査の結果が
マスコミなどで取り上げられている。
今まで、子どもの学力が下がったと批判されてきたが、「大人の学力」はどうなのかというと
つい興味が出る。
 
そのNHKのニュース
 
文科省の分析データ
 
大人の学力は、「読解力と数学的な思考で世界一」といわれると、
自分がやったのではないのに悪い気はしない。
 
では誰がやったのだろう。
無作為に選ばれた5000人に自宅で専用のパソコンを使って行われたとある。
5000人なら抽出のデータとしては代表しているといえる。
でも、選ぶのは無作為にできるが、断った人がいたのではないかと気になる。
専用のパソコンを自宅までどうやって届けたのか、その費用が気になる。
 
ところで、この調査の目的はもちろん、どこの国の大人の学力が高いのかを調べるためではない。
「学校教育、職業訓練などの人材育成の参考」にするためである。
 
マスコミ報道では順位にこだわっているが、学校教育の面からみると
今までの学校教育の成果がそこに現れているということになる。
16歳から65歳までだから、それぞれの年代の分析をすると
その当時の学校教育の分析ができるはず。
ちなみに、日本の学校教育の方法は時代によって大きく変わっている。
その時代の教育をこのデータをもとに分析できる可能性はある。
また、年齢別の比較をすると意外なことがわかるのかもしれない。
 
もう一つ注目したいのが、
「中卒の人の読解力はアメリカ・ドイツの高卒の人たちより高い」という結果である。
これは、学校教育よりも、その後の本人や仕事場、家庭の環境が大きく影響していると思う。
「日本は学歴や職業による得点差が小さく、全体的に高い能力を持っている」
ということは、義務教育の成果だけでなく、社会全体の雰囲気も影響しているはずである。
 
最後の松下佳代先生のコメントは面白かった。
「今回の調査では経済成長に必要な技術革新の力政治参加に不可欠な批判的思考力を調べているわけではないので、この結果から“大人としての学力が世界一”とは言えないと思う。
一方で成績と職業との関連を見ると、高い能力を生かせるような仕事が不足している可能性があり、産業構造の転換など今後の政策課題としてさらに分析したほうがよい」
 
このデータをどう生かすのかであって、自信をつけまんざらでもないと優越感にひたるためではない。