忘却とは忘れ去ることなり

久しぶりに書きます。
 
九州大学(九大)は3月15日、名古屋大学(名大)との共同研究により、遺伝学的手法とイメージング技術とを組み合わせて記憶の忘却について解析し、神経細胞が「忘却促進シグナル」を放出することによって、記憶を積極的に忘れさせる仕組みがあることを明らかにしたと発表した。」
 
これは線虫を用いての研究だが、同じ生き物である人間にも当てはまると予想されている。
 
「線虫の変異体を解析したところ、記憶を忘れさせるための神経細胞が存在することが明らかになったのである。さらにその神経細胞は、忘却促進シグナルを放出することによりほかの神経細胞に保持された記憶を積極的に忘れさせていることも判明。
さらに解析を進めたところ、忘却を促進する神経細胞内で働く「TIR-1/JNK-1シグナル経路」が壊れているために忘却シグナルが放出されず、記憶が忘れにくくなっていることがわかった。TIR-1/JNK-1シグナル経路とは、ほ乳動物から線虫まで共通に存在している細胞内シグナル経路である。その一部が自然免疫反応などに使われていることは確認されていたが、学習や記憶の制御における詳しい働きはこれまでわかっていなかったことから、今回の発見は大きな成果といえるだろう。」
 
脳の仕組みで、いつも不思議に思うことがある。
それは、忘れさせるシステムがあることである。
 
以前「自分は優」という錯覚」でも http://blogs.yahoo.co.jp/ytrfd162/55343883.html
ドーパミンが多い方が連携が低下する。
しかも、連携が弱いほど(=ドーパミンが多いほど)「錯覚」が強いという。
過剰になると弱まるというのが不思議なのだ。
 
記憶の場合もほかっておけば自然と忘れてしまうと思っていた。
そうではなく、積極的に忘れさせるはたらきがあるのだ。
「時が解決してくれる」と思っていたが、
それは脳のはたらきだったのだ。
 
この忘却のシステムが人を救ってくれていると思う。
忘れまいとしても忘れてしまうからこそ救われる。
すぐに忘れてしまうことにあきれていたが、
忘れてしまうこと(記憶には残っているが)の大事さを今回痛感した。