●『数学教育』2013年1月号
遅れがちな生徒のニーズに応える即効挽回策
- この原稿は、9月に書いたものだが、私としては力を入れたものである。今までの原稿は、教材の工夫が多かったが、授業の方法について書いたのは初めてのはず。「意欲格差への対応」がテーマなので、それこそ、私が毎回の授業で追及してきたものだと思い、「多チャンネル授業」プランとして、今まで考えてきたことを少し定式化してみた。この定式化の根底には、子どもの意欲を高めると同時に、考え方や、知識を子どもたち自身が選び取ることに置いている。今朝の新聞を見ると、1995年から4年ごとに実施している国際教育到達度評価学会(アムステルダム)が11日、発表。日本の小4算数の平均得点(全体の平均を500点に調整)は、前回を17点上回る585点、理科は11点上がり、559点。両教科とも95年以降で最高点。ほぼ横ばいか低下が続いてきたが、初めて上向いた。中学2年は、数学、理科ともほぼ横ばいだった。と脱ゆとりの成果を強調している。しかし、この後が問題だ。一方で、勉強への意欲・関心の低下も目立った。「算数・数学の勉強が好き」は、小4で66%だが、中2では39%。理科では、小4で83%なのに、中2では53%。中2の割合は、数学、理科ともに国際平均より20ポイント以上低かった。左巻教授は、小学校では「勉強が楽しい」が多いが、中学校になると減少するのは、なぜか?と問う。中2は、前回07年調査時は小4だった。当時、87%が「理科の勉強は楽しい」と答えたのに、中2になった今回は63%。成績の伸びは少なく、「学ぶ内容が高度化すると、意欲とともに成績が伸び悩んでいる」と分析。「ゆとり教育に慣れ、簡単な内容だけを知って勉強したつもりになっている」と話す。そうかもしれないが、これは現場で働いていた20年前と同じ現象だ。また、同じことを繰り返すだけだと感じている。私は、学ぶ内容の意味をつかむことが大事だと考えてきた。意味は意欲と結びつく。だから、「ゆとり教育」が「意欲」を評価の一番に持ってきたことは評価している。その意味をつかまないで、「学力」の向上を評価はできないのは当たり前のように感じるのだが、それは、当たり前ではないのだろうか。それが不思議である。