経験の危機を生きる【清真人著】

表題の本を読み始めた。
 
現代の危機・・・それは「経験の貧困」である。
では、経験とは何か
なぜその経験が貧困になってきたのか
経験の危機とは何か
 
それを三層構造で明らかにしながら
その危機に対抗する方策を示そうとしている。
 
経験の一番根底にある「基本的信頼感」の経験について
 
「ケアされた」という「人間の最初の体験」は、<世界>に生き生きとした関心をもち、<世界>のうちに意味を見い出し、<世界>と自分との<存在>の絆を設立するちからを人間に与え育む基礎経験なのである。
 
「発達途上の子どもの肯定的な自己感覚はケアをしてくれる人が権力をおだやかに使ってくれるから生まれるのである。親が子どもよりもはるかに強力であるのに、子どもの個人性と尊厳性とを尊重する姿勢を示してくれるからこそ、子どもは価値を与えられ尊敬されていると思い、自己評価が発達する。子どもはまた自立性をも発達させる。これは関係の中で自分と他とは個別の存在で<自分は自分である>という感覚である。子どもは自己身体のいろいろな機能を支配し制御するすべを身につける。自分のものの見方を形づくり、これを表現する」【ジュディス・ハーマン 心的外傷と回復】
 
○心的外傷の与える心理的打撃が、他者との根源的な絆をずたずたに引き裂き、それ以後他者との絆を結べなくさせてしまう。
 
○だから「孤立無援感」を打破することが最重要な課題となり、「他者と外傷体験を共有するということが<世界には意味がある>という感覚を再建するための前提条件である」
 
○ハーマンの<ケアをしてくれる人が、権力をおだやかに使ってくれるから生まれるのである>という指摘は、ケアの意味をより深く示している。