孫から「今日卒園式だったよ」と電話がかかってきた。
おめでとうと言いながら、先生やお友達とお別れだねと話した。
いっぱい学んだね、楽しかったねと
語りながら色々な思いが浮かんできて涙があふれた。
たった3年間だった。あっという間の3年間だった。
でも、二度と戻ってこない時間。
園には何度も迎えに行った。
その度に近くの小学校の校庭で駆け回って遊んだ。
コロナの為に行けない時もあった。
園の外から双眼鏡で運動会を覗いたこともある。
演技でただ立っているのをはらはらしながら見ていたこともある。
でも、その時間はもう二度と来ないのだ。
そういう時間が愛おしいと思うと同時に、この世界の悲しみや苦しみを感じるのだ。
そして、人間はなぜ生きる必要があるのかという問いが立ち現れる。
段々雪が融けていく。
裏の水道の蛇口が折れていた。
親父が買って使っていた金属のテーブルが折れていた。
二代目の源平桃の枝が折れていた。